【弁護士監修】旦那の浮気が発覚したらどうするべき?3つの対処方法を紹介

この記事のポイント

・旦那の浮気発覚時のNG行動は、感情的に責める、嫌がらせをする、放置すること。冷静に証拠を集め、今後の対応を検討しましょう
・慰謝料請求は離婚しなくても可能。相場は数十万~300万円程度
・離婚しない場合、浮気相手に接触禁止の要求をすることもある。合意内容は書面化し、違約金条項も検討すると良い

「旦那に浮気された!いったいどう対処すればいいの?」
このような悩みを持つ妻は少なくないようです。

法律上、夫婦は互いに「貞操義務」を負っています。
したがって、配偶者に浮気されたら、離婚や慰謝料を請求するなど、それ相応の対処ができるのです。

むしろそこで適切な「対処」をしなければ、配偶者は浮気の成功体験に味をしめてしまい、浮気を繰り返すことになりかねません。

このコラムでは、旦那の浮気が発覚したときにやってはいけないことや適切な対処法、証拠集めの注意点について弁護士が解説します。

旦那の浮気が発覚したときにやってはいけないNG行動

浮気に適切な対処をするためにも、まずはやってはいけないことを見ていきましょう。
具体的に避けるべき行為は、次のようなものです。
感情的に旦那を責める
裏切られたことに対する怒りや悲しさで、つい責めたくなってしまう気持ちは理解できます。
しかし、感情的に責めたり問い詰めたりしてしまうと、相手も感情的になってトラブルに発展する場合や、浮気の証拠を隠されてしまい、のちに不利になってしまう可能性もあるのです。
たとえば、慰謝料を請求したいと思っても、証拠がなければうまくいかないこともあります。

また、感情的になっていきなり離婚を切り出すと、後悔するかもしれません。
自分自身が今後どうしたいのかをしっかりと判断するためにも、まずは冷静になることを心がけましょう。
旦那や浮気相手へ嫌がらせをする
悪いのは浮気の当事者である旦那と浮気相手ではありますが、嫌がらせ行為をすることはNGです。
特に、勤務先に浮気をばらす行為や、SNSなどで誹謗中傷などをする行為は、あなたが罪に問われるおそれがあります。

暴言や暴力も絶対にやめましょう。
罪に問われる可能性があるだけでなく、民事上の損害賠償を請求される可能性もあります。
旦那の浮気を放置する
感情的になることや、嫌がらせ行為がNGとはいえ、浮気しているとわかったのに放置しておくのも危険です。
たとえば、旦那が浮気相手に本気になって「離婚したい」と言われるなど、事態が悪化する可能性があります。
また、後日、浮気相手に慰謝料請求した場合に、浮気相手から「浮気を許していた」などと主張されてしまう可能性もあります。
自分が今後どうしたいのかに応じた適切な対処が必要です。

旦那の浮気への対処法(1)慰謝料を請求する

法律上、婚姻は一種の契約であって、その契約内容として夫婦は互いに「貞操義務」を負います。
夫婦は互いに配偶者以外の人と性的関係をもってはならないとされているのです。
そのため、不貞行為は民法上の不法行為(民法第709条)として慰謝料請求の対象になります。

「慰謝料は、離婚するときに請求するもの」と思っている方も多いようですが、離婚しなくても配偶者や浮気相手に対する慰謝料請求は可能です。

不貞行為の慰謝料の相場

不貞行為の慰謝料は、法律で基準や金額が明確に決まっているわけではありません。

しかし、裁判上の相場は存在しています。
当事者同士の話合いがまとまらなければ裁判をすることになるため、話合いはこの相場を意識して行うことになるでしょう。

裁判上の慰謝料の相場はおよそ次のとおりです。

  • 離婚しない場合は、数十万〜100万円
  • 浮気が原因で離婚に至った場合は、100万〜300万円

裁判では、過去の裁判例や次のような具体的な事情を参考にしつつ、裁判官が慰謝料の金額を決定します。

  • 浮気相手との交際期間
  • 不貞行為の回数
  • 夫婦の婚姻期間
  • 夫婦間に幼い子どもがいるか   など

詳しくは「浮気・不倫(不貞行為)の慰謝料の相場はいくら?」をご覧ください。

慰謝料請求のポイント

慰謝料請求をするには、次の点に注意が必要です。
不貞行為の存在が必要
浮気で慰謝料を請求できるかどうかの鍵は「不貞行為」の有無にあります。
法律上、慰謝料請求が認められるためには、原則として浮気が不貞行為といえる必要があるからです。

「不貞行為」とは、基本的に自由な意思に基づいて配偶者以外の人と性的関係を持つことをいいます。

したがって、たとえば「キスをする」「デートに出かける」「2人きりで食事をする」といった程度では「不貞行為」として認められない可能性が高いでしょう。

なお、夫婦ではなく、交際中の男女間における「浮気」は、基本的に「不貞行為」にはあたりません。

また、浮気相手に不貞行為の慰謝料を請求する場合には、配偶者が既婚者であることを浮気相手が知っていたこと、または知らなくても注意すれば知ることができたといえること(故意または過失)が必要です。

立証責任がある

慰謝料を請求する側が不貞行為などの事実を証明しなければならないのが原則です。

配偶者や浮気相手が不貞行為の事実を認めた場合には立証の必要はありませんが、相手が否定すると、裁判になれば請求する側に立証責任が生じます。
なお、どのような「証拠」が必要であるかについては、のちほどご説明します。
時効がある
慰謝料請求の時効は、次のいずれか短いほうで完成します(民法第724条)。

  • 不貞行為と、浮気相手を知ってから3年間
  • 不貞行為があったときから20年間

つまり、上記のいずれかの期間を過ぎたとき、慰謝料を請求できなくなるということです。

ただし、浮気相手でなく配偶者に対する請求であれば、浮気相手について知らなくても、不貞行為を知った時点から時効期間はスタートします。

また、離婚の原因が不貞行為であり、配偶者にその慰謝料を請求する場合には、「不貞行為を知ってから」ではなく「離婚成立の日から」3年間で配偶者に対して慰謝料を請求する権利が消滅することになります。
詳しくは「浮気・不倫の慰謝料請求の時効」をご覧ください。

旦那の浮気への対処法(2)離婚しない場合は、接触禁止を要求する

浮気があったとしても、夫婦関係を再構築できる余地があれば、離婚までは考えないこともあるでしょう。
しかし、浮気をそのまま放置すれば、浮気が再発するリスクが高まってしまいます。

そこで、浮気相手に対して、配偶者に「接触」しないよう要求することも浮気の対処法の1つとしてご検討ください。

「接触」とは

「接触」とは、一般的に、「合理的理由」のない面会、電話、メール、FAX、手紙、SNSなど、あらゆる手段での連絡を指します。
「合理的理由」には、たとえば「仕事上やむを得ず接する機会がある」、「法律で認められた権利を行使する」といった事情があります。

接触禁止の約束のなかで、違反があった場合には違約金を支払うことをあらかじめ合意内容に含めておくことも効果的でしょう。
接触禁止要求のポイント
もっとも、これはあくまでも「約束」ですので、一方的にこのような要求をすることはできません。

強引に約束させることは、脅迫であるとして無効となる可能性がありますから、ご注意ください。
また、口約束では約束したという記録が残らず、のちのちトラブルになりやすいため、合意内容は書面にしておくことをおすすめします。
なお、接触禁止の要求と慰謝料請求は、同時に行うことも多いです。
浮気相手に接触禁止の約束をさせたからといって、慰謝料を請求できなくなることはありません。

旦那の浮気への対処法(3)離婚する

不貞行為は、裁判上の離婚原因です(民法第770条1項1号)。
浮気が一回限りであっても、配偶者以外の人と性的関係を持てばそれは不貞行為にあたると考えられます。
もっとも、たとえ不貞行為があったとしても、「一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるとき」とされ(同条2項)、裁判上の離婚が認められない可能性もあります。

配偶者が離婚を拒否しており、裁判上の離婚を目指す場合には、継続した不貞行為の証拠をつかんでおくことが重要です。

旦那の浮気!証拠集めの注意点

裁判上の離婚や慰謝料請求は、請求する側に不貞行為の立証責任があるため、証拠を集めておく必要があります。

浮気を立証できる証拠の種類

慰謝料請求の裁判では「不貞行為を推認させる証拠」、つまり「性交渉があったことを推認させる証拠」によって立証していくケースが一般的です。

たとえば、性交渉があったことがわかるメールやLINEのやり取りを発見したら、その画面の写真が証拠になり得ます。
なるべくやり取りの具体的な日時もわかるように撮影しましょう。
また、配偶者が浮気を自白しているのであれば、その録音も証拠になり得ます。
ポイントは、証拠から何が推測されるかを裁判所にわかってもらうことです。
その際の主張の組み立てを自分で考えるのは負担が大きく限界があるため、慰謝料請求は弁護士に相談・依頼することをおすすめします。

証拠を集める際に注意したいポイント

せっかく証拠を集めても、その証拠の種類や入手方法次第では、裁判時に浮気の証拠として使えない可能性があります。
たとえば、不貞行為との関連性が薄い証拠であれば、どんなに集めても価値がない場合もあります。

さらに、違法に集めたもの(たとえば、盗撮や窃盗)は、集める過程でプライバシー侵害といった不法行為や、住居侵入や窃盗といった犯罪行為になり得ます。
そのような証拠は、裁判で証拠として認められなかったり、反対に損害賠償請求を受けたりするなど、かえって不利になるリスクがあるため、ご注意ください。

なお、浮気相手に対する請求の場合、浮気相手が認めた場合を除き、次のいずれかの証拠が必要です。

  • 浮気相手が、あなたの配偶者が既婚者であることを知っていた証拠
  • (たとえ知らなくても)注意すれば既婚者であることを知ることができたといえる証拠

詳しくは「慰謝料を請求できる条件とは?浮気相手や配偶者に請求できるケース」をご覧ください。

【まとめ】旦那の浮気に対しては、慰謝料請求や接触禁止の要求などの対処法がある

浮気された場合の対処法としては、次の3つが考えられます。

  • 「慰謝料請求」
  • 「接触禁止の要求」
  • 「離婚」

どの方法が自分の目的にかなうのか、効果的なのかについて検討してみましょう。

また、不貞行為の証拠は、裁判をする場合だけでなく、話合いによる解決を目指す場合にも有利に交渉を進めていくために役立つと考えられます。

どのような証拠を、どのような手段で集めるべきかについては、専門的な判断も必要です。そのため、配偶者の浮気を理由に離婚や慰謝料請求を検討中の方は、弁護士に相談してみるとよいでしょう。

離婚や浮気の慰謝料請求でお悩みの方は、アディーレ法律事務所へご相談ください。

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この記事の監修弁護士
林 頼信
弁護士 林 頼信

どのようなことに関しても,最初の一歩を踏み出すには,すこし勇気が要ります。それが法律問題であれば,なおさらです。また,法律事務所や弁護士というと,何となく近寄りがたいと感じる方も少なくないと思います。私も,弁護士になる前はそうでした。しかし,法律事務所とかかわりをもつこと,弁護士に相談することに対して,身構える必要はまったくありません。緊張や遠慮もなさらないでくださいね。「こんなことを聞いたら恥ずかしいんじゃないか」などと心配することもありません。等身大のご自分のままで大丈夫です。私も気取らずに,皆さまの問題の解決に向けて,精一杯取り組みます。

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